2026/01/23 22:11
【前編】では、アントワープの街の歴史的建造物と芸術を辿りました。今回は、この街で出会った一軒の小さなチョコレート工房と、そこで大切にされている「ものづくり」を紹介します。
アントワープの小さなチョコレート工房
さて、ベルギーといって真っ先に思い浮かぶのはやはりチョコレート。日本にも様々なチョコレートブランドが入ってきていますが、この旅では「ここでしか出合うことができないチョコレート」を見つけたく、街中の様々なチョコレートを味わいました。
たくさんの老舗のチョコレートショップが連なる中、アントワープの小さなチョコレート工房「クー・ド・ショコラ(Coup de Chocolat)」をご紹介します。

ベルギー アントワープに工房を構えるこちらのチョコレートメーカーは、直店舗を持たず、限られた数量をベルギー国内や一部のヨーロッパ内店舗に卸しています。
初めてそのチョコレートを口にした瞬間、甘さではなく、カカオそのものの奥行きが静かに広がり、香り、苦味と余韻・・・。気づけば、しばらく言葉を失っていました。
こちらのオーナーのキャロライン(Caroline)さんにお話を伺う機会をいただきました。その味の奥にあったのは、作り手であるキャロラインさんの、静かで強い哲学でした。


森林農業での栽培にこだわるチョコレート
「クー・ド・ショコラ」で製造しているチョコレートのその特長は、ヘーゼルナッツやレーズンの香り、クリーミーで奥行きのある味わいがあります。
キャロラインさんによると、市場に流通している大量生産型のチョコレートの多くは、低価格のカカオ豆を前提に、森林を伐採し短期間で生産量を増やす栽培方法がとられ、その結果、環境への負荷や、風味が均一になってしまう問題も生まれているそうです。
「クー・ドゥ・ショコラ」では、こうした課題に向き合い、森林農業(アグリフォレストリー)を意思を持って選択し、コロンビア北部シエラネバダ山脈の麓で、アルアコ族という先住民族のコミュニティが育てたカカオ豆を使用しているとのこと。

「市場価格の約3倍を支払い、カカオ100%の豆のみを使用しています。添加物は一切使っていません。砂糖やバニラ香料、粉乳、ナッツの方が多い工業製品のチョコレートとは根本的に異なるの。」
原材料のこだわりに加えて、CO₂削減のため、収穫されたカカオを帆船で運んでいるというお話もとても印象的でした。
年間約500kgの豆からチョコレートを作るこの小さな工房で、彼女は原材料の供給から輸送、そして大切なカカオそのものの味わいを活かしたチョコレートを大切に作り続けています。「パンはパンの味が、トマトは水ではなくトマトの味が、そしてチョコレートにはカカオの味がするべきです。」とキャロラインさん。



アントワープで出会ったのは、味や芸術だけでなく、「なぜ、私たちはこれをつくるのか」という問いを静かに追及し続けているチョコレートとその職人さんでした。
キャロラインさんが大切に作り上げているチョコレートを、日本でもぜひ味わっていただきたく、彼女にお願いし、今回よりこちらのショップでご紹介できることになりました。原料と工程にこだわりぬいたカカオらしい深い味わいの一枚です。甘さではなく、チョコ本来の味わいをお好みの方へ。ぜひ旅の余韻を感じていただきつつ、味わってもらえたらと思っています。
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